路上絵描きのこと(秋葉原 編)

路上絵描きを始めて数年。
路上での絵描きは、楽しい。集中できる。
一期一会、通行人との一発勝負。
絵も、下描きなしの一発勝負。

ペンさばきは速くなった。
ぐずぐず描いていては、人を魅きつけられない。
いつ、どんな場所に立って、どんなふうに見せるか。
歩く人や街の迷惑になってもいけないが、目立たなくては意味がない。
もちろん、第一の目的は自分が楽しく面白い絵を描くこと。

4月下旬からゴールデンウィークにかけて、毎週日曜日に秋葉原の歩行者天国へ。
秋葉原でずっとやってみたかった。できれば「秋葉原らしい」絵を。
アキバを闊歩する彼らに対して、私の絵は訴求できるのか? 
そういう「勝負」。

結果は、どうだったろうか。
外国の方「写真いいですか?」と丁寧に聞いてくる。もちろんオッケーです。
日本人は「スッゲー」。遠巻きに、あるいは通り過ぎながら「スッゲー」。

印象的だった肌の色の濃い外国の女性。本当に無邪気に絵を喜んでくれた。ハッピーな波。
中華系らしき男性。気さくにいろいろ話しかけてくれた。「がんばってね!」爽やかに去っていく。

ほかには、祝事帰りとおぼしき男女のグループが足を止めてくれた。
絵の女子学生の顔 はクマであるが、それを「はがしてみて」と私は言い、青年がおそるおそるはがしてくれた。クマの下には、前もって女の子の顔を描いておいた。小さな歓声と拍手。

秋葉原らしい雰囲気の若い男性が「完成した絵はどこかで見られますか?」と聞いてきてくれた。私は敬意を表して彼に名刺をお渡しした。
・・・こんな感じだ。「勝負」の結果はわからない。

おかげさまで今までにはないユニークな絵が描けた。マンガっぽさもあるし、いいと思う。
その場その時だけのエネルギーがこうやって絵にたっぷりと注がれる、路上絵描きの面白さ。

画像クリックで拡大します○秋葉原の街並と、クマのかぶり物(別紙なので脱着可能)をつけた女の子。ぶっ放すマシンガンのマガジンには、弾のかわりに札束、打ち出すのはハートだ。細部もたっぷり、隠れた意味を考えればいろいろと楽しめます。所有したいという方に原画をお譲りします。